元の形が分からないコートのボタンを修理
2016/08/30
元の形が分からないコートのボタンを修理
※ボタンの復元修理後の写真です。
「一点もののコートのボタンがなくなってしまった!」
「ふと気づいたら、お気に入りのお洋服のボタンがなくなっていた」なんていう経験はありませんか? 替えのボタンを持っていれば修理は簡単ですが、替えのボタンを捨ててしまったりして、無いことも多いですよね。
今回のお客様がお持ちになったのも、ボタンが外れてしまったコート。
ボタンというよりは留め具というイメージかもしれませんが、コートの生地に残っているパーツからは元のデザインが分からず、お客様もはっきりとは覚えていらっしゃらない状況でした。
お客様の近所のボタン屋さんでも元の形が分からなくてはお手上げということで、困って弊社に修理のご依頼をくださいました。
コートのボタン跡から推測できる形のボタンを製作
コートに残ったボタンのパーツからは、全体としてのボタンの形は分かりませんでした。コート生地に残っているボタンの跡や他のボタンを見ながら、元の機能やデザインをイメージし、「こういう感じだろうか?」「それともこうだろうか?」と試行錯誤して、ボタンを製作しました。
出来上がったボタンはこちら。
大きさ:約W,40mm×H,15mm×D,5mm
中(稼働部の周り)にバネが入っています。フックを開け閉めする際にバネが伸縮する仕組みになっています。
このボタンの製作時のポイントは、バネの強弱の調整です。
バネが強すぎるとフックが硬くなり、コートを着るたびに力をこめて開け閉めしなくてはいけないので大変です。逆にバネが弱すぎると、フックが緩くなってすぐに外れる可能性もあります。
こういった事から試行錯誤して、コートのデザインと合わせて、ちょうどいい力加減でフックの開け閉めができるようバネの強さを調整しました。
切削や挽物加工のノウハウがあるからボタンを復元できた
一点もので元の形が分からないボタン修理のご依頼でしたが、お客様には満足しOKをいただくことができました。
杉原産業は、今回のようなボタンなどの、細かいパーツづくりも得意です。その理由は、金属の切削・挽物加工に自信があるからです。
ろくろのような機械に加工したい金属をあてがい、丸く削っていくことはできますが、例えば6角や3角にキレイに加工するには、職人の腕が必要です。
また切削に使う刃物にも工夫をこらし、表面が滑らかで美しい仕上がりになるようにしています。
今回のケースのように「元の形が分からない」という場合は、弊社が元のデザインや機能を想像して、ぴったりのオリジナルパーツを製作させていただくこともできます。
想い入れのあるコートなどで、「古い一点ものだからもうボタンが無い」と諦める前に、一度ご相談ください!